京都カラスマ大学

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授業詳細

【日本文化】

日本の「節句」を知る。楽しむ。〜ひなまつり編〜

2010年03月06日(土) 14時00分 ~ 16時30分    教室:楽々荘と北町商店街(亀岡市)
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※本授業へのお申込みは<先着順>です。申込締切日は、3月3日(水)24時までとさせて頂きます。
3月3日(水)中にお申し込みください。(ただし、定員となり次第締め切らせて頂きます。)
JRのローカル線に揺られて約30分。
「京の奥座敷」と称される亀岡の街で、ここ数年、毎年3月に小さな取り組みが行われています。

それは、「北町のおひな祭り」。

小さな商店街が、祇園祭の屏風祭よろしく、我が家の「おひなさん」を一般披露。旧暦の桃の節句である4月(〜4(日)、土日祝のみ)までの1ヶ月間、時計屋さんも薬局も美容室も、街中がギャラリーになるのです。おばあちゃんから孫に受け継がれた現代ものから、200年もの時を経て縁あってこの地に伝えられる雛壇も。

今回の授業では、このイベントで賑わう商店街を、人形のスペシャリストと一緒に歩き、街の人々のお話をうかがいながら、「ひなまつり」を楽しみます。

現代社会では次第に失われつつあるのに、京都の暮らしには今もなおたしかに生き続ける年中行事のひとつが「節句」。一般的に「節句」と言って思い出されるのは5月の「端午の節句」ですが、実は1月7日(七草)、3月3日(桃の節句、ひな祭り)、5月5日(菖蒲の節句)、7月7日(七夕、星祭り)、9月9日(重陽、菊の節句)と、季節の節目となる五節句をさします。「五節句」制度が明治時代に一旦廃止されたり、旧暦、新暦と暦が変わったり、さまざまな変遷を経てもなお、日本の暮らしにその習慣が残るのは、なぜでしょう?

城下町・亀岡の街に残るお雛さまを愛でながら、豊かな日本の文化や風習について考えます。

【授業の流れ】
13:45      楽々荘にて受付開始。
14:00~14:10 本日の先生紹介。
14:10〜15:10 田中先生と北町商店街にくり出す。「ひなまつりを歩く、聞く、考える」
15:20〜16:00 楽々荘にて、中田先生のお話を聞きながら、雛の茶会。「亀岡を知る、考える」
16:00〜16:30 今日の授業で知ったこと、考えたこと。

(授業コーディネイター/高橋マキ)

田中 正流 / 花園大学歴史博物館研究員、花園大学非常勤講師

1974年、大阪府高槻市生まれ。日本民俗学、中でも京都を中心とした人形や玩具の研究が専門。大学では情報歴史学や博物館に関する授業を担当。毎年、春の陽気に誘われると、全国各地の人形展に出没……。主な著書や論文は、『宝鏡寺の御人形たち』、『宇治人形−知られざる茶の木人形の世界−』、『情報歴史学入門』、「疱瘡と猩々人形に関する一考察−宝鏡寺門跡の事例を中心として−」、「人形供養にみる人形観の諸相」、「日清・日露戦争期にいたる人形・玩具の諸相」など。京都民報社のサイトでの連載はこちら「京のお人形」

中田 智之 / 楽々荘主人

京都府出身。同志社大学経済学部卒業後、アメリカへ留学。現在、料理旅館として知られる、京都・亀岡の「楽々荘」を経営する。

今回の教室:楽々荘と北町商店街(亀岡市)

住所:京都府亀岡市北町44番地
電話:0771-22-0808
(お問い合わせは所在場所についてのみ、お願いいたします。
授業内容につきましては、京都カラスマ大学までお尋ねください)

最寄り駅:JR嵯峨野線亀岡駅

教室までの行き方:JR亀岡駅を下車、亀岡駅を背にして右側に徒歩約7分(ファミリーマートのある交差点も直進)。左手にあるこんもりとした森のような場所が楽々荘のお庭です。商店街入ってすぐの正門からお入りください。
地図を見る

楽々荘は、貴族院議員で明治時代の京都の政治経済界の大立役者、そして現在のトロッコ列車として有名な旧山陰線生みの親、田中源太郎翁の邸宅でした。明治30年代に迎賓館として建てられた書院造りの和館とトロッコ列車のトンネルと同じレンガで造られた洋館が百年の歴史を刻み、平成9年に国の有形文化財に登録されました。また、650坪の庭園は植治で有名な小川治兵衛七代目の作になり、亀山城から移したと云われている豊臣伝来の石燈籠や鉄の井筒が昔を今に伝えています。
HPはこちら

<バリアフリーに関して>
バリアフリー設計ではありません。ご来場の際は、お手数ではございますが事前に京都カラスマ大学事務局までご連絡ください。当日スタッフが対応させていただきます。

レポートタイトル:思いでつなぐ、つながるおひなさん

冬から春へ向かうこの時期「ひと雨ごとに春が近づく」といいますが、授業当日の朝も春を迎える雨が
しとしと降っており、内心ちょっぴりがっかりしながら今回の教室である亀岡・北町商店街へ。

しかし授業の始まる頃にはすっかり雨がやんで、日差しさえのぞいていました。
授業コーディネイター・高橋マキさん曰く「生徒の皆さんのためにお天気、晴らしておきました」。
そうなんです、最近京都カラスマ大学スタッフのなかで、常識となっていること。
それは「スマ大の授業中は雨はふらない」。

ご挨拶もそこそこに、さっそく田中先生とともに商店街へくりだしました。

印象的だったのは、「おひな飾りは思いの宝庫」ということ。おひな飾りから田中先生が読み解いてくださる昔の公家や庶民の暮らし、町の人が話してくださるおひな飾りと家族の思い出。
飾られているおひなさんには、聞いてみないとわからない今昔様々な「思い」が潜んでいました。

そんな「思い」、ほんの一部ですがご紹介しますと・・・・

「おひな飾りに見る当時の人々にとっての公家のくらし」
おひな飾りには江戸風のものと、京都風のものがあるそうです。赤ら顔した泣き上戸、笑い上戸、
怒り上戸の衛士三人組は婚礼行列の傘や靴を持つ江戸風に対し、掃除道具などを持つ京都風というように区別します。実際の公家社会を見ることのなかった江戸の人々は、掃除道具を持たせることなんて
思いもつかなかったのかもしれません。当時の人々の公家社会への憧れを感じます。

「作り手の腕のみせどころ、五人囃子」
田中先生によると、おひな飾りで職人にとって一番の腕の見せ所は「五人囃子」だそうです。その理由は人数も多く、服装も決まりが少ないため自由に表現できるから。ひな人形をつくる職人の世界では、
手足をつくる職人さん、顔を書く職人さんなど完全に分業化されており、現代の人形作家さんのように
職人さんの名前が前面にでることはないそうです。しかし「腕の見せ所」と1つ1つ心をこめて製作する
姿が思い浮かび、急に「五人囃子」から職人さんたちの思いが伝わってくるように・・・。

「ヤギ洋品呉服店のばらばらのおひなさん」
『ヤギ洋品呉服店』の奥に飾られたおひなさんは一番上のお内裏様・おひな様とその下の人形では年代が異なります。これはお内裏様・おひな様は店主のお母様のものを、それ以外はさらに先代のものを受け継いでいるからだそうです。昔は、現代のようにセット買いではなく1体1体少しづつ買い足していくことが普通だったそうです。「恥ずかしいわ」といいながら色々とお話をきかせてくださった店主の奥様の笑顔が印象的でした。

そのほかにも、どのお店でもおひなさんにまつわるお話をみなさん楽しそうに話してくださいました。
おひな飾りには家族の思いや楽しい笑い声が刻まれているのだな、と感じました。

たくさんお人形を眺め、「思い」を感じ、すっかりおひなさんの世界に夢中になったところで、
北町商店街の入り口に構える料理旅館『楽々荘』へ。楽々荘の主人・中田さんは今回の授業のもう一人の先生です。先生は「北町のおひな祭り」の発起人であり、お店にも立派なおひな飾りが飾られています。

『楽々荘』に飾られたおひな飾りは2種類、お人形の先生である田中先生も「これは別格です」という
ほど立派なもの。そのうちの1つはデパートで有名な松屋に嫁いだ岩倉家の次女のために作られたもの
でしたが、東京の三菱財閥の家にわたりその後、縁あって楽々荘の中田さんのもとへ。
もともと中田さんは男兄弟でおひな飾りはなく、岡本家で飾られなくなったため譲り受けたそうです。
このお人形にもさまざまな「思い」が潜んでいそうです。

中田さんご自身は譲りうけた当初はほとんど人形に興味がなかったそうですが、商店会の会長として
商店街に元気を出したいと発案したのは「北町のおひな祭り」。
そのキーワードは「女性が楽しくて元気が出ること」だったそうです。商店街で何かやろうとすれば
女性の協力は欠かせず、逆に女性がやることには男衆は文句が言えない(!)。確かに授業でお店を
まわったときにお話を聞かせてくださったのも、すべて女性でした。その活き活きとした表情を思い出し、中田さんの狙いは大当たりだったんだ!と実感しました。

楽々荘では特別に「ひなの茶会」として、菱餅をイメージした洋風のデザートとお茶をいただきながら、先生方にさらにお話をうかがいました。特に印象的だったのはこれから日本の伝統行事である桃の節句は残っていくのか?というお話。

お人形の保管場所など現代の住宅事情や価値観の変化など様々な要因から、今後は節句をお祝いする
ということがなくなってしまうのではないかという考えがある一方で、田中先生は「祝い方は変わっても、行事そのものはなくならないのでは?」と考えているそうです。ひな飾りを飾る、という行為がなくなってしまっても、北町のおひな祭りのようなものを見てまわったり、ちらし寿司でお祝いしたり・・・大事なのは子どもの成長を祈るという「心」が伝わっていくことだと考えているそうです。

今回の授業を通じて、ひな飾りをめぐる様々な「思い」や「心」に触れることができました。
北町商店街を明るく元気にし、この日参加した生徒を夢中にさせたおひな様の魅力の源は、
そこにあるのではないでしょうか?

(ボランティアスタッフ 塚本史緒)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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